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2007年06月21日

アポカリプト

先日、永島慎二先生の遺作展が阿佐ヶ谷であったので、ちょっと上京しました。日帰りというのも珍しいんですが、ひとりで行くというのも珍しいことです。なにしろワタシは耳が悪いので、「ひとりで東京に行く」とか言うと、みんな心配します。「ひとりで新幹線に乗る」とか言っても心配されるので、「ひとりで新幹線に乗って東京のホテルに泊まってくる」とか言ったら、もうたいへんなことになってしまいます。まるで小学生です。だからせめて日帰りというわけです。
永島先生というと阿佐ヶ谷です。ワタシも若い頃は、三鷹とかにも住んでいて、電車の窓から先生の住んでいる阿佐ヶ谷の街を眺めていましたが、畏れ多くて降りたことはありませんでした。それが52歳になって、はじめて阿佐ヶ谷の駅から、遺作展の会場の喫茶店まで歩いてみましたが、短い距離とは言え、なぜ先生が阿佐ヶ谷を大好きだったのか、少し理解できました。この街には生活があります。
いつもは丸の内とか千代田区とか渋谷とかばっかり歩いているので、そのちがいはあからさまなんですが、阿佐ヶ谷ではまったくみんなあからさまに生きているのでした。あからさまにオカネなさそうだし、あからさまに年寄りだし、あからさまに体が不自由だったり、あからさまに楽しそうな子どもがいました。それに生活の臭いもあからさまです。「匂い」ではなくて「臭い」。商店街というのはこんなにもいろんな臭いがするものだったかな、と思うほどです。いまや仙台にだってこんなに臭いのするところはないでしょう。そして、もしかしたら、この臭いはワタシが東京にいた30年以上前から変わっていないのではないかと思ったら、なんだか不覚にも涙が出そうになりましたです。
永島先生の絵はすぐ売り切れてしまいます。特に油絵は初日に売り切れてしまうそうです。耳が悪いワタシは、アイスコーヒーを頼んではトンチンカンなことを言い、絵を見せてもらってる間にもチンカントンなことを口走り、この絵が欲しいどうしても欲しいなどと、またカントンチンなことを叫んで、お店の方がすでに買ったものを無理矢理譲ってもらったりしたのはワタシです。すみませんでした、浜野さん。帰ってからもカンチントンな留守電でご迷惑おかけしました。そのうちお詫びがてら参上し、今度はゆっくりと阿佐ヶ谷を歩いてみたいと思っております。
メル・ギブソン監督の「アポカリプト」、前作「パッション」以来の、パフォーマンス・ムービーを期待して観に行きました。なにを思ったのか初老のカップルが多かったんですが、時々後ろを振り返ってみると、あまりの血も涙もないシーンの連続に、彼彼女たちは、捕虜が断頭台にひかれて行くシーンではその捕虜と同じ顔に、首を切断され断末魔の叫びを上げるシーンでは、今まさに断末魔の悲鳴を上げんとする人になっていました。あと、上映中に脱兎のごとく階段を駆け下りて出て行った若者がいましたが、二度と戻って来ることはありませんでした。あははは。これぞ映画です。まったくあからさまです。偉大なり、メル・ギブ。敬意を表して「パフォーマンス」という新しいカテゴリーを作りました。

投稿者: igarashimikio | カテゴリー: パフォーマンス