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2007年04月27日

ブラックブック

ワタシとアシスタント2名による、「ウチの事務所オンリーワン・ムービー」に燦然と輝いている「スターシップ・トゥルーパーズ」、その監督であるポール・バーホーベンの約7年ぶりの新作「ブラックブック」が仙台にも来たので、観に行きました。ナチ物なんで、なんだかな、という気持ちもナチにあらずでしたが、えー、くだらないダジャレはともかくですな、やっぱり仁義切って観に行きましたよ。ワタシ、映画だけは義理堅いんです。パーティだの飲み会だのゴルフだのは呼ばれても行かないですが。
バーホーベンというと、パワフルで、スキャンダラスで、いわゆるエッヂが効いた作品が売りです。今でこそ当たり前のように使われるCGについても、バーホーベンとジェームズ・キャメロンが「物好き」と言われながらも、使い続けたことによって確立されたものじゃないスか。
そのバーホーベンが、ハリウッドを都落ちし、母国オランダに帰って、第二次世界大戦、ナチとそのレジスタンス、まさにコテコテにアナログにして、スタンダードかつドメスチックなものを撮るということに、諦めに似た不安な気持ちを抱えたまま、映画館に行きました。しかもなんだかみんな誉めてます。みんな誉めるものは用心してます。最近はなにかと言うと無責任に誉める人ばかりなので。
それで「ブラックブック」、いやー、よかったですぅ。ほんとにぃ。見事なシナリオでした。ポール、おまえは医大だよ、じゃなくて偉大だよ。こんな職人芸までこなせるとは。
よし、飲め!オレの盃を受けろ!ま、たいへんだったろ、なっ。だけどアレだよ、主演の女優な、アレはアレでいい女優だけど、おまえホントは、ニコール・キッドマンでやりたかったんじゃないか?え?隠すなって、隠したってわかるんだから。ニコールを脱がしたかったんだろ、あははは。なんだなんだ、なんで暴れるんだよ!いててて、肘ぶつかったぞ!いてえだろ!いいから、座れって。ほれ、コップひっくり返ってるぞ。おまえ、そのタコ食わないのか。タコの酢の物だよ、これは。食わないんならオレがもらうぞ。なんだなんだ、また暴れて!食うんなら、食えよ!いらねえよ、こんなもの!「ブラックブック」なんか、アレおまえがわざわざ7年ぶりに撮らなきゃいけないもんかよ。20年前に考えたネタなんだろ。そんな日本のじいちゃん映画監督みたいなこと、おまえやってどうすんだよ。なんだ、また暴れんのか!暴れろよ、ほれ、みんなこっち見てるぞ。いててて、放せ、バカ!いてえってんだよ!結局、おまえだって技術見せるしかなかったんだろ、そうだろ!なにすりゃいいのかわかんないんだろ。映画も音楽も漫画も、今まで川を流れてたのが、みんな海に出ちゃったみたいなもんなんだ。だからどっちに行けばいいのか誰もわかんないんだよ。海だよ、シーだよ、オランダ語だったらゼーだろ!ゼー!ゼー!わかるか?アンダスターン?ゼーだよ!ん?そうそう、ゼーだよ。わかったか?おー、そうそう、ゼーゼー。ん?そりゃタコだよ、確かにゼーだけど、オレが言ってんのはちがうんだよ!なんでわかんないんだよ!

投稿者: いがらしみきお | カテゴリー: サスペンス

2007年04月11日

絶対の愛

めずらしく仕事で上京しました。ワタシの場合、東京に行くというのは、年に1回か2回ぐらいなものなんですが、この前東京に行ったのが確か去年の9月頃、その時、たまたまキム・ギドクの「弓」をやっていたので、コレ幸いとばかり観に行きました。そして今回もまたまた、たまたま、またたまやっていました、ギドクの最新作「絶対の愛」。うーん、やっぱりギドクはワタシに観て欲しいんだと思います。あははは。
ま、東京の単館ロードショーはいつまでもやってるもんですが、仙台だとギドクの映画は1週間で打ち切りになります。なんかのゴシップで、前々作「うつせみ」の時に、ギドク、韓国国内での公開の仕方も自分でプロデュースしてやったそうですが、それでもお客が入らないので、がっくりして、「もう引退する!」だか「韓国ではもう撮らない!」だか「韓国人に映画なんかわかるもんか!」だか、「キムチばっかり食うな!」だったか、キレてしまったらしい。
はたまたポン・ジュノの「グエムル」の大ヒットに嫉妬し、テレビで皮肉を言って世論の集中砲火食らったとか、「小学校しか出てないからバカにされる」とか、学歴差別まで吐露してひがみまくったとか、いろいろあることないこと聞きましたが、ワタシの勝手な読みでいうと、ギドクは「うつせみ」に絶対の自信があったんだと思います。それで公開の方式から一新して勝負に出たのに、韓国人はわかってくれない。
「うつせみ」については、ワタシもこの欄で「ギドクは最強モードに入った」とか、「次の2、3本で最高傑作をものにするはず」などとレビューしましたが、「弓」が今ひとつベタに観念的なままだったので、肩すかしくらいましたが、「絶対の愛」は、「うつせみ」に並ぶ、ギドクの最高傑作になったと思います。ギドクの真骨頂は、観念が一転して具象化するところにあります。デタラメがホントになってしまうというか。アイヤー!ひさしぶりに映画観ながらひとりで興奮して、こみ上げる笑いを押さえ切れませんでしたよ。
映画館に入る前にラーメンを食ったんですが、そこで特製つけ麺というものを頼みました。そしたらなんか味が薄いというか、しないというか、最近の東京はこういうものが流行ってるのかな、うーん、とか思いながら食ってたんですが、やおらそこの店員がカウンター越しに「すみません、調理ミスがありました」とか言ってペコペコ謝り出したので、ワタシともう一人、同じものを食べていた人は、顔を見合わせてゲラゲラ笑いました。ゲラゲラゲラゲラ。
「絶対の愛」のエンディングなんて、調理ミス一歩手前のおもしろさです。ここでああすりゃみんな泣く、という展開をこれでもかとやっておいて、そうはしないんですから。今か今かと泣く準備をしていたお客さんは、完全に肩すかしくらいますが、今時「うまいラーメン」なんてどこにでもあるんだし。ゲラゲラゲラゲラ。

投稿者: いがらしみきお | カテゴリー: 恋愛