« 2005年10月 | メイン | 2005年12月 »

2005年11月25日

もし、あなたなら〜6つの視線

またまたまた韓流です。しかし、すげい邦題っスね。「もし、あなたなら〜6つの視線」ですから。これ原題はなんていうのかなぁ。ハングルなんでわかりません。英題は「If you were me」だそうです。なんでも人権をテーマにした6つのエピソードを韓国の6人の監督が撮っています。そのうちのひとつがパク・チャヌク監督だったので、借りてきました。でもこれ7月に出たDVDですね。すみません、今頃。
パク監督のパート「N.E.P.A.L. 平和と愛は終わらない」、テーマの「人権」と、このタイトルだけ見ると、まるでベタな啓蒙映画のように見えますが、これ実話だそうで、韓国の工場で働いているネパール人のおばさんがラーメンを食ったところ、サイフを忘れてきたため無銭飲食と誤解されて警察に通報され、ロクに韓国語も話せない上に、顔が韓国人のような顔だったため、精神障害の人に間違われてしまい、外国人とは知らないまま6年4ヶ月もの間、精神病院とかをたらい回しにされた事件だそうです。ワタシも昔、似たような4コマ漫画を描いたことがあります。銀行に押し入った犯人が意味不明のことばかり言うので精神障害者だと思われるんですが、そのうちインド人だったことが判明する話です。うーん、字で説明するとおもしろくないですね。
このおばさん、どうやって助け出されたかというと、何年もしてから、ようやくおばさんの話すネパール語がわかる人が出てきたからだそうで、まるで「ミッドナイト・エクスプレス」のような話です。でも今はネパールに帰って元気な姿を見せてます。結局、これは復讐三部作とかバイオレンスとかとは一切関係ない話なんですが、パク監督が一番好きな作品だそうでその気持ちはよくわかります。
他のエピソードでは、「子猫をお願い」のチョン・ジェウン監督の「その男、事情あり」。おねしょの話なんですが、とてもおねしょの話とは思えない作品になってて、なかなかおもしろいです。韓国映画というと、ラブストーリーにしてもコメディにしても、極北に向かって突っ走って、激突して血塗れになってナンボという傾向があるんですが、それが時々、残酷な描写や、心身障害者を題材にしたものに伺えます。このオムニバスでも、英語の「R」をうまく発音できるようにするために、子供に舌の手術をさせるエピソードがあって、その手術シーン、これ本物なんじゃないでしょうか。痛いです。うぐぐ。
あと、脳性麻痺の人がソウルのひっきりなしにクルマが飛び交う巨大な道路を、抗議のためゲリラ的に松葉杖で横断する「大陸横断」という話もあります。見事横断できるかどうかはみなさんの目で確かめてください。
他の作品もなかなか無視できない存在感があって、タイトルの腰砕けアダルトチルドレンみたいなニュアンスとは全然別なものです。なんでこんなタイトルにしたんだろ。

投稿者: いがらしみきお | カテゴリー: ドラマ

2005年11月23日

美しい夜、残酷な朝

またしても韓流です。とは言っても、これ日・韓・香の監督による3篇のオムニバスなんですが。日本篇の「BOX」をハセキョー主演で三池崇史が、韓国はイ・ビョンホンの「CUT」をパク・チャヌク監督が、香港篇は「Dumplings」をフルーツ・チャンが撮っています。これは結構豪華な組み合わせです。お目当てはパク・チャヌクのパートでしたけど。
それでパク監督の「CUT」、いいですね。これもまた復讐物というのか、逆恨み物というのか、結局やっぱり当然バイオレンスです。「オールド・ボーイ」の若き日の沢口靖子ことカン・ヘジョンちゃんも出ています。パク監督の映画は「パク組」と言ってもいいキャストとスタッフで作ってるようで、「親切なクムジャさん」でも、復讐三部作でお馴染みの俳優がカメオ出演のように次々と出て来ました。だけど、これが「クムジャさん」の画面から緊張感を奪ってしまったような感じもしたので、難しいところです。あー、まだ「クムジャさん」にこだわってる。すんません。
三池監督の「BOX」もなかなかよかったです。三池監督には新しい「仁義なき戦い」を撮ってもらいたいもんです。フルーツ・チャンのパートもいいですね。撮影のクリストファー・ドイルのカメラが素晴らしいです。クリストファー・ドイルがいれば、誰でも立派な映画が作れるかも。

投稿者: いがらしみきお | カテゴリー: サスペンス

2005年11月19日

親切なクムジャさん

パク・チャヌク監督の復讐三部作の最後を飾る「親切なクムジャさん」です。この復讐三部作、一番最初に観たのが、二作目の「オールド・ボーイ」からで、次に一作目の「復讐者に憐れみを」という順番でした。そのあと、この「クムジャさん」を待つこと4ヶ月、途中、挫けそうになったり、自暴自棄になったり、さみしくて一人ふとんの中でそっと涙を拭ったりはしませんでしたが、試写会の機会を逃して悔しい思いもしました。しかし、よーやく観れました。
「よーやく観れました」というか、ここで会ったが百年目みたいな姿勢で観られると、映画の方もたいへんです。それはわかります。それにワタシは「映画ゾンビ」です。生きてるように見えても実は死んでる映画ファンです。「クムジャさん」を待ちながらも、どこかで「もう死んでるんだから」という醒めた気持ちもありました。いや、ほんと。
それで「クムジャさん」、結論から言うとおもしろいです。イ・ヨンエもよかったです。復讐三部作の最後というわけで、前2作の出演者もチョイ役でみんな出て来ます。ただ、どうも「集大成」というニュアンスがあるのか、誘拐、腎臓移植、死んだ子供というモチーフをまた使っています。それとパク監督、どこか手慣れてきた分だけ、前2作にあった緊張感がちょっとヌルんでたような気もします。ワタシの席のひとつ前の男は、退屈したのか、やたらこれ見よがしにアクビしたり、首をぐるぐる回したり、背伸びしたりしてました。映画というのは「おもしろくない」と思ったら、すぐ帰りましょう。他のお客さんの迷惑です。
とは言え、子供を殺された親たちを集めて、犯人にそれぞれ復讐させるシーンは秀逸でした。それとやはりイ・ヨンエでしょう。ゲスの勘ぐりで言えば、パクさんはヨンエに惚れたんじゃないでしょうか。ま、監督はだいたい女優さんに惚れちゃうものかもしれませんが。
それでも…、まだなにか言い足りないものがあるとすれば、それは結局、ワタシがすでに頭の中で構想してた「親切なクムジャさん」の方が、おもしろいかもしれない、という言い草はあるんです。そんなこと言ったらみんなに怒られますが。まったくです。怒られて当たり前です。勝手に人の作品を構想したりするもんじゃないです。すみませんでした。

投稿者: いがらしみきお | カテゴリー: サスペンス

2005年11月16日

ダーク・ウォーター

まず「ダーク・ウォーター」から。「まず」というのは、「親切なクムジャさん」もいっしょに観て来たもんですから。
で、先に観た「ダーク・ウォーター」、日本の「仄暗い水の底から」のリメイクですが、監督が「モーターサイクル・ダイアリーズ」のウォルター・サレスなのと、ジェニファー・コネリーが主演なので観てきました。サレスのインタビューとか見ると、「ホラーのつもりで作っていない」とか、「母と子の物語を描きたかった」とかいうようなことを言ってましたが、まぁ、監督のそういう話ってマユツバとはいわないけど、取材とかなければ言ったりしないコメントだったりするので、あんまり信じてないんですが、その言葉を聞いてなんかイヤな予感がしました。最近はホラーってエゲツない人じゃないとダメかな、と思ってるんで。
ハリウッドでは外国の新人監督の腕試しとして、まずホラーを撮らせるというのがひとつのパターンなんですが、ワタシ、先生じゃないですけど、これはこれで及第点というか、ウォルト、進級おめでとうというか、でも先生はキミはもっとできる子だと思ってるよ、というか、そういうデキです。
でも、久々にティム・ロスも観れました。ティム・バートンの「猿の惑星」で完璧に猿をやってしまったあと、音沙汰がなくなっていたので、もしかしたら猿のまま戻れなくなってしまってるんじゃないかと心配してたんですが。あははは。あと、ジェニ・コネの娘役の子が、どこかプロゴルファーの藍ちゃんに似ててかわいいっス。
結局、「親切なクムジャさん」の方ですね、問題は。

投稿者: いがらしみきお | カテゴリー: ホラー

2005年11月11日

甘い人生

イ・ビョンホンです。DVDで今頃観てます。
ワタシも韓流映画にハマったひとりなんでしょうね。その第一歩はやっぱり「オールドボーイ」だと言いたいですが、厳密にはその前に観てた「カル」の方かも。「カル」は確かに「セブン」の路線を狙った映画でしたが、それはそれでよく出来てて、まず韓国の役者さんに驚きました。とにかくみんな存在感がある。体臭さえ匂うようなそのリアルさに、これはエライなぁ、と思いました。だからワタシもヨン様狂いのオバアたちと同じ入り方してるんでしょうね。結局、韓国映画は役者さんです。役者さえよければ映画なんてなんとかなるんじゃねいでしょうか。テーマだのストーリーだの、そんなもの、いい女優の前ではとるに足らない問題っス。同じく韓流にハマってるワタシのアシスタントは、「ほえる犬は噛まない」のペ・ドゥナにイカレて、「リンダリンダリンダ」の劇中バンドが出したCDまで買ったとか。映画観てないくせに。映画観ろ、おまえ。オレも観てないけど。
というわけで、韓流の前ではヨン様狂いのオバア同然になっているワタシですので、禁断症状が出てなんでもいいから韓流映画を観たくなったんですが、もう近所のビデオ屋にあるめぼしいものはほとんど観てしまっている。それでビョン様の「甘い人生」を手にとってみたら、これって「箪笥」を撮ったキム・ジウンが監督なんですね。劇場で予告篇だけ観てて、ははぁ、これはビョン様のビョン様によるビョン様のための映画なんではねいか、とナメてかかってたんですが、じゃ、まぁちょっとだけ、というわけで、借りてきて観ました。
観たらびっくり!韓国版「仁義の墓場」みたいな映画で、ビョン様ファンのオバアたちって、これをほんとに観たんでしょうか?吐いたり、泣きわめいたり、失神したり、逃げ帰ったりしなかった?言っちゃぁなんだけど、ビョン様ファンのオバアたちにこれを観せるというのは、映画なんか観たことのない敬虔なキリスト教徒に、いきなり「パッション」観せるようなもんじゃねいでしょうか。「パッション」は人を二人殺してる殺人映画でぃっす。
ワタシの記憶によれば、この「甘い人生」をホメてた人はあんまり知りません。たぶんワタシのように、みんな「ビョン様映画」としてしか見てないのかも。ビョン様使ってこんな映画にしたキム・ジウンもエライけど、こんな映画に出てここまで自分を追い込んだビョン様もエライと思います。
まったくエライエライエライ!今週は「親切なクムジャさん」観に行くどー!オー!

投稿者: いがらしみきお | カテゴリー: アクション

2005年11月09日

ブラザーズ・グリム

テリー・ギリアム、7年ぶりの新作です。その7年の間に「ラ・マンチャの男」を撮り損ねたメイキングフィルム「ロスト・イン・ラ・マンチャ」もありますが、映画というと、あの「ラスベガスをやっつけろ」以来なんですね。あの「ラスベガスをやっつけろ」は、ホメてる人を見つけるのがとても困難な映画です。たぶん世界全体を見渡して、そこにギリアム本人を入れても、あの「ラスベガスをやっつけろ」をホメる人は21人ぐらいしかいないかも。まぁ、21人いればいいとも言えますが。
しかし、「細木ババアに10日後に死ぬと言われたら観ておきたい最後の10本」とかいう企画があったら、ぜひそこにギリアムの「フィッシャー・キング」を入れたいと思ってるワタシですので、嫁さんと子供は外出、晩メシはひとりで外で食ってこい、と言われた土曜の夜には、行きます、シネコンに、フラフラと。
たぶん寝るだろうな、と思ってたんですが、なぜか混んでて、隣の席に妙齢のご婦人が。そのご婦人が気になって眠れなかったというか、いや映画もなかなかだったというか、ギリアム、マジメに撮ってるな、テクだけ期待されてるんならテクだけ見せてやろうじゃねえの、という気構えが見えるというか、こんなご婦人にわざわざ観に来てもらえるなんて、テリー、おまえってエライよ、と言うか、とにかくご立派でした。
で、妙齢のご婦人に後ろ髪引かれつつ帰路についたのが11時過ぎ。その後、薄ら寒い3人ぐらいしか乗っていない地下鉄に寒々と揺られながらも、まだ妙齢のご婦人の幻影にうなされつつ、やっぱり映画ってのは映画館で観るものだな、と思った夜でした。

投稿者: いがらしみきお | カテゴリー: ファンタジー

2005年11月04日

蝋人形の館

「ドミノ」、どうもトニ・スコの「いつものヤツ」を観せられたような感じしかしなくて、なんか食い足りないので、晩飯食ったあとにもう一本観ました。「蝋人形の館」です。
ひさしぶりの連チャンですが、実は「ドミノ」の最中にひと眠りしてたため、体力は十分っス。うーん、一本観たあと「もう一本観るか」という時の気持ちっていいもんですね。連休1日目の夜というか、明日も休みだっていうか、ベガルタ仙台の試合を観戦したあと、今夜はユベントスの試合もあるというか、玉澤の黒砂糖まんじゅう食ったあと、コレはすぐ固くなるから夜になったらもう1個食っておこうっていうか、なんか贖罪というか、すべてを許されたような気持ちになります。あははは。
ほんで「蝋人形の館」、いいですね。マジメに撮ってるホラーを観ると、気持ちが引き締まるというか、オレも明日からがんばろうというか、男は親孝行しなきゃだめだろっていうか、ま、そこまで思う人はあんまりいませんが、やっぱりホラーっていいです。
監督はジャウム・コレット=セラという人。「コレット」と「セラ」の間につく「=」はどういう意味なのかわかりませんが、これがデビュー作だそうで、もしかしたらそのうちメジャーで一発当てる人になるかも。いや、どうかな。最近の人はクリストファー「メメント」ノーランにしろ、ダーレン「π」アーノフスキーにしろ、ヴィンチェンソ「CUBE」ナターリにしろ、みんなそのあとも地味ですね。そう言えば、アレハンドロ「オープン・ユア・アイズ」アメナバールも、ダニー「トレイン・スポッティング」ボイルも、ピエール「アメリ」ジュネも、みんなハリウッドから自分の国に帰ってしまいました。ワタシは、今やもうみんな海に出てしまってるんだから、どこが中心とかどこが辺境とかはもうないんじゃないか、と最近思ってるんですが、日本のプロ野球の人は「メジャーでやりたい、メジャーでやりたい」ばっかり言ってる今日この頃ですね。

投稿者: いがらしみきお | カテゴリー: ホラー

2005年11月01日

ドミノ

トニー・スコット監督の「ドミノ」です。トニ・スコは結構好きです。兄のリドリー・スコットことリド・スコも好きですが、この兄弟、兄の方は重厚というか重いものが好きで、弟の方はシャープというか尖ったものが好きみたいです。それにしてもトニ・スコ、「クリムゾン・タイド」辺りから発病したMTV病というかカット・チック症候群というか、ますますビョーキがひどくなってるんじゃねいでしょうか。あまりにもカットが細か過ぎるので、字幕なんか読んでると、なにが映ったのかよくわかんないままドンドン進行してしまうし、その上いきなりズームはするわ、スローモーションはするわ、早送りはするわで、鼻の穴しか映ってないカットまであったような。
うーん、病いコーコーとはこのことじゃねいでしょうか。トニ・スコのこの病気は「エネミー・オブ・アメリカ」で最高潮に達したと思ってたんですが、そのあと「スパイ・ゲーム」、「マイ・ボディガード」とまだまだ進行中でした。このまま行くと、映画1本総カット数の世界最高記録を樹立するかも。今の記録保持者はオリバー・ストーンだったりして。あははは。
オリバーくんも同じようなMTV病というか、PV病にかかってから長いと思うんですが、いったい二人ともいつまでこんな撮り方するつもりなのか、ちょっと興味が出てきました。またはどっちが先にやめるのか。うーん、刮目して見守りたいと思います。

投稿者: いがらしみきお | カテゴリー: アクション